【安価・コンマ】ファンタジーな異世界に異物が紛れ込むお話
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389: ◆7m3grp2dM2[saga]
2020/10/14(水) 18:29:42.80 ID:DA03flOdo

このままダラダラお待たせするのも申し訳ないんで、書いた分だけ投下します。


【人と獣を隔てるものU】

「人と獣の違いは何だと思う?」

魔力を抑え込む訓練を終えた休憩中、爺さんはそんな事を聞いてきた。
この爺さんに捕まえられて3年の月日が経つ。
言葉はいくつか覚えられた。だけど、未だにこの森の外に出たことは無い。
爺さんから様々なことを教え込まれてきた。その質問もそれらの内の一つなのだろう。

「わからない」

とオレは答えた。
この森に棲む獣も、この森に足を踏み入れる人間も、然したる差がないと思っているからだ。
爺さんのいう正義だとか善行だとかいろいろ説かれたが、正直に言ってよく分からない。
この爺さんに叩きのめされ飼われている今も、この森で王として君臨していたあの頃でも、それらは同じ物だと思っていた。
どちらも生きるために殺し、喰らう為に殺す。理不尽な危険に晒され、死ぬるのは弱者。
縄張りを守る獣と生存権を広げようとする人間。言い分は違うが、結果も過程も違いはない。

だから、人と獣に違いなんてない。人は人の形をした獣だ。

オレはそう爺さんに言った。
爺さんは驚いたような顔を見せ、思案するように髭を撫でながら言う。

「何も考えていないように見えて、意外と面白いことを言えるのだな」

意外だといった表情で流れるように愚弄された。



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