34: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:13:13.56 ID:Od9IjqsH0
収録へ戻る車の中。私は、臨時でマネジメントをしてくれているスタッフに話しかけた。
「本当に」
「……なんです? 楓さん」
「……あっけないものですね」
私は、どういう意味でそんなことを言ったのだろう。それきり、会話は途切れた。
今頃、Pさんはどうなっているのだろう。
もう火葬場へと向かったのだろうか。
煙が見えたなら、なんて思ったけれど、それをこうして想像するだけで、ちりちりと痛みを感じる。
無言のまま、車はテレビ局へ滑っていく。
窓から伺える街の喧騒が、私を日常へ戻るよう強いているようで、心がざわついた。
目を伏せ、アイドルへ戻る作業へと、私は没頭する。
まぶたの裏では、先ほどの遺影が、私に笑いかけていた。
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