15: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/13(日) 22:58:18.62 ID:kh3F9e+N0
「ちひろさん? マンションまで送りましょうか?」
私の提案に、ちひろさんはかぶりを振る。さすがに今の彼女をそのまま電車へ預けてしまうのは、不安でしかない。
通りに出てタクシーを捕まえる。
「ほら、私も一緒に乗りますから。帰りましょう?」
「……ごめんなさい」
要領を得ないちひろさんと一緒にタクシーに乗り込む。幸い私は、ちひろさんの自宅を知っていた。
無言のまま通りを走っていくタクシー。
ちひろさんが実家住まいでよかったと、私は安堵している。親御さんに送り届けられれば、とりあえず安心していいだろうと思う。
今の彼女にかける言葉はまだ、見つからない。
もどかしい時間が過ぎ、ようやく彼女の自宅へタクシーが到着する。
親御さんに簡単に事情を説明し、私はちひろさんを引き渡す。
タクシーを待たせているからと、お茶を辞退してすぐ自分のマンションに向かった。
216Res/171.18 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20