149: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:45:20.46 ID:CC20O+KU0
ちひろさんはにっこり笑い、「はい」と言った。
「え……どういうこと、ですか」
「しばらく、楓さんと二人三脚で、一緒に頑張っていきましょう、ってことです」
「そんな……ちひろさんはご実家があるわけですし」
「……実はもう、相談しちゃいました」
私の心配に、ちひろさんはあっけらかんと言うのだ。
「母が『あら、いいわね』なんて、賛成してくれて。『トップアイドルと過ごすなんて、あなたすごいわね』って、褒められちゃいました」
「……」
「父も『ご迷惑にならないようにな』と、認めてくれました」
「……」
「あと、社長にもお願いしまして。『よろしくお願いします』って、頼まれちゃいました」
「……ああ」
私はがっくりと項垂れる。
私のこの状態で、ちひろさんに多大な迷惑をかけていると、そう思えて仕方ない。
「まあ、明日からすぐってわけじゃないですけど。私も、心の病気と向き合っていますし、お互いさまってことで」
ちひろさんは私の手を取り、優しい笑みを向けてくれた。
「よろしく、お願いしますね」
そう言われて、私は否と言えるはずがない。今後に不安を感じながらも、私は。
「はい」
そう答えるしか、なかった。
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