3: ◆PknhD1Oqxw[saga]
2020/09/10(木) 00:41:23.12 ID:dDCR230O0
劇場の事務室には、私、北沢志保とプロデューサーさんの二人きり。
自己レッスンのために無理を言って残らせてもらったので、時刻はすでに21時を回っており、
私たち以外は誰もいない。静寂の中、時計の針の音だけが部屋に響く。
4: ◆PknhD1Oqxw[saga]
2020/09/10(木) 00:42:18.33 ID:dDCR230O0
いきなり告白なんて我ながらずいぶんと思い切ったことをしたものだ。
こんなことになったのも役作りのためにと百合子さんから借りた恋愛漫画や小説が原因だ。
半ば押し付けられたような形だった。
5: ◆PknhD1Oqxw[saga]
2020/09/10(木) 00:43:30.33 ID:dDCR230O0
それらの作品群は百合子さんが太鼓判を押すだけあってとても面白い作品ばかりだった。
“憧れのカレとドキドキデート“ ”意中のあの人と二人きり“
……恋なんて自分にはどこか縁遠いものだと感じていたけど自分もいつかこんな恋愛をするのだろうか
6: ◆PknhD1Oqxw[saga]
2020/09/10(木) 00:44:35.67 ID:dDCR230O0
朝、おはようと声をかけてもらえるだけで幸せな気持ちになったし、
一日中一緒にいられるお仕事の前の晩なんか楽しみで眠れないほどだった。
休みの日には今頃プロデューサーさんは何してるのかなとか考えてみたり、
7: ◆PknhD1Oqxw[saga]
2020/09/10(木) 00:45:39.39 ID:dDCR230O0
普段はちょっと抜けていて頼りないくせに変なところで真面目で誠実なこの人のことだ、
自分の担当アイドルに手を出したりしないだろう。
仮にそうでなかったとしても、憎たらしいことにこの人は多くの女の子から好意を寄せられている。
8: ◆PknhD1Oqxw[saga]
2020/09/10(木) 00:46:23.94 ID:dDCR230O0
でも…それでも…私は。
その声を、その笑顔を、そのやさしさを、
9: ◆PknhD1Oqxw[saga]
2020/09/10(木) 00:46:53.74 ID:dDCR230O0
私はさらに言葉を繋ぐ。
「私は……
私の成功を自分のことのように喜んでくれて
10: ◆PknhD1Oqxw[saga]
2020/09/10(木) 00:47:34.27 ID:dDCR230O0
言った。やっと言えた。
体の全部が心臓になったんじゃないかってくらい鼓動の音がうるさくて、
数日何も飲んでないんじゃないかってくらい口が渇いて、
11: ◆PknhD1Oqxw[saga]
2020/09/10(木) 00:48:14.16 ID:dDCR230O0
「……志保、俺は─」
沈黙は終わりを告げる。
ああ、私は今どんな表情をしているのだろう。
12: ◆PknhD1Oqxw[saga]
2020/09/10(木) 00:50:03.91 ID:dDCR230O0
おわりです
北沢志保かわいいね
13: ◆NdBxVzEDf6[sage]
2020/09/10(木) 01:49:33.47 ID:41l/B97T0
せやな
乙です
北沢志保(14) Vi/Fa
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