【俺ガイル】さよならメモリーズ
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45: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2021/09/03(金) 18:05:34.50 ID:YbM8yKa9O
「ないな。びっくりするほどない」
「即答ですか」

 俺の人生を省みてみると、女性関係で何かあったなんてあの出来事くらいのもので、それ以外は虚無以外の何物でもない。
 
 いや、女性関係に的を絞らなければもっといろいろあったよ、俺の人生? 大学受験とか就活とか滅茶苦茶頑張った。偉いぞ俺。何十社ES出したんだろ、あの時ばかりは理系に進んでサクッと就活を終わらせた材木座が本気で恨めしく、あ、間違えた、羨ましく感じたものだ。
 
「普通に何かありそうですけどね。比企谷さん、顔も悪くないし」
「人間、外見よりも中身なんだなって実感した人生だった」
「人生まだまだこれからですよ」

 あれ、どうして俺は平日の夜から後輩に慰められているのだろう。
 
「強いて言うなら、学生の時に付き合ってたやつがいたくらいだな。一回だけ」
「なんだ、やっぱりあるんじゃないですか」
「その一人と付き合ったきり、何もないから実質ゼロみたいなもんだ」

 別に隠すようなことではない。とっくの昔に終わってしまった話だ。 
 
「でも」

 と、後輩が口を開く。
 
「やっぱり1と0って違いますよ」

 そう言って後輩はニコリと笑う。これから何か良い事ありますよ、と言いたげな視線である。
 
 ……ま、何もないんですけどね。


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