42: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2021/09/03(金) 18:04:08.98 ID:YbM8yKa9O
あれから何年が経っている?
数えるのも嫌になったからわからないが、大学を卒業して働き始めて数年になるから、相当な年月のはずだ。
出会いがなかった、なんて言い訳は正直できない。
職場には女性が少なからずいたし、全く話さなかったというわけでもなかった。
昔とは違い、完全孤立のボッチではなかった。そう、この俺があの高二病患者からは脱却することができたのである。奉仕部での経験のおかげか、社畜になってからはある程度の人間関係は築けるようになっていた。
だが、他人をある境界線よりも自分の内側に入れることも、またなかった。
人との関わりは深くなればなるほど、かけがえのないものになる。そうして得たものを、大切だと思っていたものを失うことが、俺は怖いのだ。
それは雪ノ下のこともそうだが、もう一人。
もしも俺が何もしていなかったなら、今過ぎていく時間の中に彼女たちはいたのだろうか。
『本当、未来なんてどうなるかわからないものね』
『ね! ヒッキーがちゃんと働いてるんだもん。もうヒッキーじゃないよ』
『それで生きていけるなら、いくらでも引き籠もっていたいけどな。定時出勤が、朝が来るのがツラい……』
ありもしない空想(if)が、頭の中にぼんやりと浮かび上がり、そんな自分がひどく間抜けに思えて笑えてくる。
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