鹿賀りん「ダイキチが悪いんだよ?」河地大吉「ああ……俺が悪い」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/02(水) 22:17:23.92 ID:VrI1bENjO
「ダイキチ、それなーに?」
「これか?」

クレープと、ドーナツと、塩豆大福をパクつきながら、りんが俺の荷物に気づいた。
傍らに抱えた大きな紙袋をりんに手渡す。

「本当は家に帰ってからのお楽しみだったんだけどな……特別に開けてみてもいいぞ」
「いいの?」
「ああ。大福の粉をくっつけないようにな」

りんは大福を急いで食べて終えてから、ハンカチを取り出し手を拭き、紙袋を開けた。

「わっ! おっきい、くまさん!」

なんとなく気恥ずかしくてわざわざ別行動をしてまで買ったぬいぐるみだったのだが、今回はそれが裏目に出てりんとはぐれてしまった。そのことを察したりんは怒った口調で。

「いらない!」
「えぇ……せっかく買ったのに」
「くまさんには気をつけないとダメなんだよ? ダイキチ、森のくまさんって知ってる?」

なんとなく、聞き覚えはある。
しかし、あれは結局誤解だった筈だ。
くまさんが悪いわけではなく悪いのは俺だ。

「くまさんに罪はない。貰ってやってくれ」
「えーやだー」
「くまさんが居れば、夜中に怖い夢を見ても平気だろ? そのために買ってきたんだよ」

りんはこの頃、悪夢にうなされている。
怖い夢を見ると決まって俺の布団に入ってきて、そしておねしょをしてしまう。
どうも育ての親である俺の爺さんを奪った"死"に、りんは怯えているらしいのだ。

「くまは強いから、りんを守ってくれるよ」

それを克服するための強い味方として、巨大なくまのぬいぐるみを俺は用意した。


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