27:名無しNIPPER[saga]
2021/05/12(水) 12:55:24.35 ID:AP6Q6JOhO
「あー、まあ、うん。この子」
俺も自分のスマホを操作して、液晶にめうちゃんを映して橘に見せた。値踏みするような目でじっと見て、彼は口を開いた。
「なるほど、何ちゃん?」
「めうちゃん」
「俺はこの子好きやな、みのりんちゃん」
再び橘のスマホがこちらに向けられた。そこには昨日、センターに立ってMCを回していた女性が写っていた。
「へぇ、橘は年上っぽい人が好き?」
「見た目はって話だけどね。へぇ、こんな世界があるんや。ちょっと面白いかもな」
「再来月、ライブがあるって言ってたけど」
「ほーん、時間合えば行ってみるか?」
「おっけ」
そこまで話してスマホに目を落とすと、橘はそろそろダンスの練習に向かう時間になっていた。
「そんじゃ、また。お疲れさん」
「おう、いってら。お疲れー」
こうやって、好きなことを頑張ってるやつはすごいと思う。大学に来て、練習をして、今日はその後にバイトも入ってあると聞く。俺はというと、そうやって詰め込んで何かをすることはできるだけ避けたいと思ってしまうタイプだ。
「すげぇな、あいつ」
本心でそう呟いて、俺は家路を辿った。
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