13:emanon
2020/09/01(火) 21:08:15.87 ID:p7+LgWTZ0
僕「…。幻覚の女性は、度々夢に現れます。そこでは雪が降っているんです」
馬子「雪ね」
僕「彼女は僕に何かを言っているような気がします。でも僕には何も聞こえない。彼女は笑っている。僕は手にナイフを持っている。それで彼女を刺す。僕は彼女をころすんです」
14:emanon
2020/09/01(火) 21:17:41.70 ID:p7+LgWTZ0
馬子「へぇ」
僕「…へぇって。それだけですか?」
馬子「面白い話だったわ」
15:emanon
2020/09/01(火) 21:22:42.04 ID:p7+LgWTZ0
僕「…それでも僕は、知りたいです」
馬子「どうして?」
僕「…痛みを知らない人間にはなりたくないから」
16:emanon
2020/09/01(火) 21:55:40.58 ID:p7+LgWTZ0
〜放課後・美術部〜
馬子「綺麗な髪ね」
17:emanon
2020/09/01(火) 22:11:24.94 ID:p7+LgWTZ0
馬子「だって、今回の本当の依頼人はあなたじゃなくて、秋野ちゃんだもの」
僕「どういう事ですか?」
馬子「秋野ちゃんに言われたんでしょ? 文化部部室棟の最上階に悩みを解決してくれる人がいるって。金の髪と碧の瞳、そして人形か妖精と見紛うほどの美しい容姿をした少女がいるって」
18:emanon
2020/09/01(火) 22:21:36.29 ID:p7+LgWTZ0
馬子「私はまだ、あなたの事をほとんど何も知らないからね。まずは依頼人の秋野ちゃんに、君の事を聞いてみようかと思って」
僕「というか、秋野に僕の不眠症の解決を依頼されたのなら、もう不眠症を知っていたのでは…?」
馬子「ええ」
19:emanon
2020/09/01(火) 22:31:02.17 ID:p7+LgWTZ0
馬子「秋野ちゃんは、彼の不眠症の原因を知ってる?」
秋野「…いえ、分かりません」
馬子「それじゃあ、何か異変は?彼の身の回りで起きた、どんな小さな事でも良いわ、気が付いた事は?」
20:emanon
2020/09/01(火) 22:40:52.10 ID:p7+LgWTZ0
馬子「じゃあ、その右手は?」
秋野「…右手の怪我ですか?包帯の?…えっと、分からないです」
僕「ああ、これは怪我じゃなくて後遺症みたいなものです。心臓の手術中に血液が足りなくなって輸血をして貰ったんです。たぶん、それの影響で麻痺が続いていて」
21:emanon
2020/09/01(火) 22:50:57.33 ID:p7+LgWTZ0
僕「幽霊じゃないですよ、あれは幻覚で」
馬子「幽霊の名前はアンバー。アンバーは囁く。彼が一人になった時に。どうして私を殺したの?どうして?どうして?…って」
秋野「幽霊なんていません。それに誰も殺してないですよ。そういう事をする人じゃないです」
22:emanon
2020/09/01(火) 23:01:39.32 ID:p7+LgWTZ0
〜帰り道〜
馬子「錆び付いた車輪 悲鳴を上げ 僕等の体を運んでいく♪」
23:emanon
2020/09/01(火) 23:08:49.95 ID:p7+LgWTZ0
僕「…馬子さん。あんまり秋野を脅かさないで下さいよ。彼女、怯えていました。幽霊とか化け物とか苦手な子なんですから」
馬子「人は皆嘘をつく」
僕「秋野は嘘をつかない子ですよ」
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