【艦これ】鎮守府のいちばん長い日 
1- 20
2:名無しNIPPER[sage]
2020/08/23(日) 21:00:07.04 ID:mEhN2ZkD0
 何度も挑戦してきた最終海域、現在の戦力で突破が難しいことは数日前から感じていた。

結論を先延ばしにし、艦娘たちに多大な犠牲を強いて今日まで戦い続けた。

「提督、夕立はまだまだ戦えるっぽい!思いっきり、暴れるっぽ〜い!」

彼女のこの言葉も保身にすぎない、戦意があることを示し、難易度変更については提督に判断を委ねていた。

誰もが形だけ難易度変更に反対し、提督に責任を押し付けようとしていた。

この鎮守府にとって甲以外の難易度に変更するのは敗北と同義と皆が認識していた。

直接戦場に赴かず、艦娘たちの戦いを見守ることしかできない提督だからこそ苦悩も深刻だった。

夜戦の時は上から順に狙っていけ、戦艦は敵PTを撃つな、特攻艦は敵ボスを狙え。

何度、艦娘に指示しても艦娘たちは適当に戦い、敗北し帰還してきた。

それでも提督は艦娘たちの健闘を称え、修理の手配をし、次の出撃の準備をした。

艦娘たちと共に出撃をし、失敗した時は敵に突撃し、華々しく戦死したほうがどれほど気楽だろうか。

敗北を認めず戦い続けることは容易い、負けた責任を戦死することで償う指揮官は有能と言えるのだろうか。

 彼は万人にとって優秀な指揮官ではなかったが、最低限のバランス感覚はもっていた。

「私は甲勲章なんてどうでもいいと思っている、共に戦ってきた艦娘の力を発揮できるから選んできた、ここで何も得られずに終わってしまうことこそ全てを無駄にしてしまう」

提督はなおも声をあげる長門を無視し、深海棲艦指揮官に連絡するよう大淀へ命じた。

大淀が受話器を取り上げ、通話先に何ごとか話しはじめた時にそれはおこった。

長門は最終海域参加艦に目をやり、大和にかすかな目配せをした。

「提督はお疲れのようだ、疲労で正常な判断ができなくなっている、医務室で休養していただこう」

あまりに無遠慮な言葉に怒りで立ち上がった提督を大和が押さえつけ拘束した。

「長門!大和!貴様ら何をしているのか、わかっているのか!」

15.5cm砲を持ち上げた大淀の手を長門が砲ごと叩き潰し、悲鳴をあげて逃げ出した明石を夕立が背後から蹴飛ばした。

艦娘たちのクーデターはわずか数分でけりがついた。

「提督は休養されている、鎮守府の指揮はこの長門が代理で行う!最終海域への出撃準備にかかれ!」

長門の言葉に艦娘たちが一斉に動き出した、出撃するのは支援も含め24隻、内心ではクーデターに反対している者も傍観に徹した。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
8Res/11.42 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice