中野攻「墓碑のような夜のビルの前に花束が」 【亜人SS】
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17: ◆8zklXZsAwY[saga]
2020/08/16(日) 22:21:19.97 ID:FGITa5EtO

 五分くらいずっとそうしていた。粒子を出しながら、おれはその場で夜空を見上げ、あちこちに眼を向けた。そうしているうちに、そういや真鍋さんもいるじゃん、と思い当たった。そっちの可能性もあった。ていうか、そのほうが可能性が高かった。フォージ安全があったビルの近くにはバス停があって、ずっとこうして立っているとバス停にいる人がおれのことをジロジロ見ている気がする。

 落ち着かない気分になってきた。内心焦りだすと、だんだん永井はそんなことするようなやつじゃないような気持ちがどんどん強くなってきた。あいつ、誰が死んでも知ったこっちゃないとか言ってな、とおれは思った。

 おれは黒い粒子を出すのをやめて、さっさとフェンスの前に花束を供えようと振り返ってビルを見上げた。



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