中野攻「墓碑のような夜のビルの前に花束が」 【亜人SS】
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16: ◆8zklXZsAwY[saga]
2020/08/16(日) 22:20:34.10 ID:FGITa5EtO

 おれは花束を持ったまま走り出していた。人が行き交う通路に出て、首を左右に振って周りを見渡したけど、おれとは無縁そうな会社帰りのサラリーマンしか見えない。

 あの花束は昼に見たときには絶対になかった。フェンスのすぐ近くまでには行かなかったけど、おれは視力が両方とも二・〇だから、もし昼に花束があったら見落とすはずない。

 おれがビルから去ってから入れ違いにやって来たのか、そうかもしれない、でも違うかもしれない。

 おれはどうすればいいか考えた。あれは絶対に平沢さんたちのための花束だ。近くにいるのか、もう遠くにいったのか、わからない。確かめる方法はないのか。

 おれは考えに考え、そしてあることを思い出した。

 おれは集中して、黒い粒子を出した。狼煙のように夜に向かって、びゅうびゅうと強い風が吹いていたビルの屋上のことを考えながら、まっすぐ昇っていくように考えながら、黒い粒子を出し続けた。



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