8: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/15(土) 10:58:19.36 ID:NLZLtzJb0
俺は時計を見る。
9: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/15(土) 10:58:52.58 ID:NLZLtzJb0
まったく、なんて心配性か。思い込みが激しすぎる。現実がまるで見えていない。そんなはずないだろう。在り得ない。脳がオカルトに浸食されてしまっている。
いくら今日が象徴的な日だからといって、全てが幻として消えてしまうはずもなかろうに。
終戦記念日を過ぎたから、全ての戦いが気づけば終わっているだなんてのは、非論理的にもほどがある。
10: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/15(土) 10:59:19.71 ID:NLZLtzJb0
何年前の話だったろう。記憶はもう遥か彼方に飛んで行ってしまっている。酒の席だったか、大規模海戦の時だったか……。
寝るのが怖いなら起きていればいいのだ。孤独に消え去るのが不安なら、誰かと手をつないだままいればいいのだ。少なくとも、終戦記念日の今日、今夜だけは、俺は誰しもがそうできるようなシステムを作った。
いや、「システム」だなんてのは大仰だ。俺はただ単に無礼講の日を設けたに過ぎない。その日の夜を仲間と、親しい、愛すべき誰かと過ごすことを選んだのは他ならぬ彼女たち自身。
11: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/15(土) 11:00:19.18 ID:NLZLtzJb0
時刻は二三時五〇分。ビールは最後の一本、その半分くらい。
酔いが回ってきている。きもちがいい。潮のにおいが心地よい。
日付が変わって、誰一人欠けがないことを確認してから、眠るとしよう。
12: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/15(土) 11:00:47.54 ID:NLZLtzJb0
手と手が触れあう。熱く、しっとりしていた。緊張のためか、汗、手汗が。
彼女は勇気を出したのだ。ならば、俺も握り返す勇気をもって、その想いに応えるべきだった。
花火は夜通し持つだろう。酒盛りは毎回午前様だ。ゲーム大会だっていつ終わるとも知れない。
13: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/15(土) 11:01:39.37 ID:NLZLtzJb0
―――――――――――――――
おしまい
終戦記念日は特別な日。
兵器が役目を終えてゴミになる、幸せな日。
14:名無しNIPPER[sage]
2020/08/15(土) 15:45:38.59 ID:0Xxw38Kso
おつおつ
15:名無しNIPPER[sage]
2020/08/16(日) 02:13:17.81 ID:/RnWzUxUo
乙
好きな雰囲気だ
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