空銀子「竜王の側室にでもなるつもり?」夜叉神天衣「否定はしないわ」
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13:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/14(金) 20:53:23.65 ID:H0ikd4c1O
「それでは、師匠。お姉様。ご機嫌よう」

最後まで猫撫で声で神経を逆撫でして、夜叉神天衣は去っていった。はらわたが煮える。

「あれがあんたの悩みね?」
「な、悩みってほどではないけど……」

八一にあのガキへの恋愛感情はない。
そのくらいは私にだってわかる。
ならば、必要以上に嫉妬する必要はない。

「タクシー、拾うわよ」
「あ、あの、姉弟子……?」
「銀子」
「あ、ごめん。それでその、銀子ちゃん」
「なによ」

道端でタクシーが通りかかるのを待ちながら、八一は恐る恐る尋ねてきた。

「その……怒らないの?」

無論、激怒している。熱く煮えたぎってる。
しかし、それはあの黒い悪魔に対するもの。
八一にも責任はあるだろうが釘を刺された。

「私は……八一の重荷にはならない」
「え? 銀子ちゃん、今なんて……?」

丁度タクシーが停まり、エンジン音で私の囁きは掻き消され、黙って車内に乗り込んだ。

「八一。今日は楽しかった」
「うん。こちらこそ、楽しかったよ」
「これからもっともっと、楽しもう」

勝負の世界は、楽しいことばかりではない。
辛いことも、悲しいことも、たくさんある。
それでも、だからこそ、それ以上に楽しむ。

「クソガキなんかに……絶対に負けない」

自称竜王の側室は言った。師匠を縛るなと。
師匠を弱くするなと。上等だ。やってやる。
膝に置いた手を握り締めて、覚悟を決めた。

どっちが八一をより高みに導けるか勝負だ。


【りゅうおうのそくしつ!】


FIN


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