9: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/12(水) 23:41:59.15 ID:NLnJB+H60
「ご主人様」
地面の硬さを確認しつつ、漣は張り出した木の枝を掴んだ。それを支えにしながら、傾斜を登って行く。
「もう少しです」
傾斜はもう少しで途切れているように見えた。針葉樹の葉と葉の隙間から、きらきら光る光と青空のまじりものが幽かに動いている。
時折地面に手を衝きながらも一気に駆け上がる。漣は露出した岩へと手をかけ、その上体を引き起こそうとしている最中。
唐突に視界が開ける。
切り立った崖のようになっている場所だ。これまで登ってきたような土とは明らかに質感の異なる、白っぽいごつごつとした岩が数メートル下から続いており、そんなところにも木はたくましく根を張っている。
視界が開けたのは急峻な地形による高低差のためだ。崖に生えた樹木は、その向きの問題もあって、俺たちの視界を防がない。
「……」
「……」
ゆえに、眼下を一望することができる。
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