6: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/12(水) 23:39:15.04 ID:NLnJB+H60
「……どうすんだ」
「降ります。歩きましょう」
即断と即決。どちらも戦場においては必要なものだが、果たして。
結果として左の道は行き止まりであった。道がないのではない。地図上でも、確かにこの先に道は続いている。しかし、それでも、俺たちは前に進むことができないでいる。
工事現場にあるようなフェンス、黄色と黒で意図的に注意を促すカラーリングの施されたそれが、道幅一杯に立ちふさがっていた。人が一人通れるぶんの通用口はあるものの、そこは鎖と南京錠でしっかりと施錠されている上に、随分と錆びてしまっていた。人の行き来がないのは一年やそこらではなさそうだ。
パウチされた警告の張り紙――「危険。立ち入り禁止」。砂埃で汚れている。やはり、どう見ても、道路工事などではない。
俺は漣に言われるがままに車を降りた。フェンス自体は道路をしっかり塞いではいるものの、ここは山。少なくとも徒歩で斜面を使えば、その向こう側まで行くことは容易である。
25Res/15.79 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20