89: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/14(金) 23:07:57.34 ID:eY+H6i2KO
ランパードは苦笑した。
「……まあ、そう来るだろうよ」
「トリスのことだ、どうせ裏があるんだろう?それが何であれ、邪魔はさせない」
「邪魔はしねえって」
「エルフは信用ならん」
「嫌われんなあ」
ランパードはそう言うと、席を立った。
「ま、それならそうでいいさ。上にはお前さんたちは見付からなかったと伝えとく。
ああ、忠告な。テルモンの連中がイスラフィルで待ってるぜ。まあ、お前らならどうとでもするだろうが……人死に出したら目立つぜ。そんだけだ」
テルモンが??そこは……私の祖国だ。
「ちょっと待って!!」
周囲の視線が私たちに集まる。しかしランパードは振り向かず、そのまま去っていった。
魔王が険しい顔で私の裾を引く。
「馬鹿がっっ……!注目を浴びてどうする?そもそも、奴の言うことを素直に信じるつもりか?」
「でもっ……彼は『テルモンの人間が待ち伏せしてるって』……」
「ああ、そうだろうよ。言っただろう、お前の『追憶』はどこの国にとっても都合が悪い代物だ。だから、世界中がお前を狙ってる。
そして、あのランパードという男もお前を利用しようとしていただけに過ぎん。人を安易に信用するな、愚か者がっ」
そうか……彼は私たちを罠にはめようとしていたのかもしれなかったのか。……自分の甘さが嫌になる。
「行くぞ、これ以上注目を浴びるのはまずい」
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