755: ◆Try7rHwMFw[saga]
2021/01/11(月) 21:24:57.70 ID:b5rhOPz3O
「アンバーの隠れ家」から戻ってから、微妙な空気が続いている。帰り道も、皆どこか言葉少なだった。
それは部屋に戻った今でも続いている。
「どうしてあんなこと言ったんだろうね」
プルミエールが髪を梳きながら言う。やはり、引っかかっていたか。
「あのランダムという男が何者かは分からん。ただ、率直に言えば俺にも違和感があった」
「違和感って、クロエさんたちのこと?」
「ああ。彼らを信用してないわけじゃない。敵でもないと思う。ただ、あまりに都合が良すぎる」
「都合?」
「ああ。なぜ、絶妙の時機にカルロスたちの所に現れたのか?不思議に思わなかったか」
プルミエールが手を止めた。
「そりゃ……運が良かったからじゃ」
「そこだ。俺は運をそんなに信じてない。運だと思っている物事の背後には、必ず何かがあるはずだ。
あいつらには感謝している。ただ、ランダムが初対面の人間に無意味に警鐘を鳴らすような、思慮のない男とは思えないんだ」
「……確かに」
「『パワードスーツ』、だったな。『遺物』じゃないと言っていたが……何か問題があるんだろうか」
「どうだろ……明日クロエさんたちに訊いてみるしかないんじゃないかな」
「そうだな。明日も早い、今日はもう寝るぞ」
「……うん」
何か、俺たちは根本から勘違いしている気がする。
そもそも、ジャックとアリスがヘイルポリスに行った意図は何だ?父の友人だからといって、無批判に信用しすぎてはいなかったか?
とにかく、ヘイルポリスに行かないと話にならない。目で見たものしか、信用してはならない。
それは、俺がプルミエールと一緒にいる理由でもある。
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