655: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/10(木) 23:09:40.24 ID:6QjOvduJO
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「うおおおおおっっっっ!!!!」
裂帛の気合いと共に、私は幻想の神を打ち破った。そして代わりに目の前にあったのは……銃口。
「……まだ殺しはしません」
ゴウッッ!!!!
「グロンド」を握っていた右腕の先が、消し飛んだ。
「ぐあああっっっっ!!!じゃ、邪教徒風情がっっっ!!!!」
「……自分に背く者は、全て邪教徒なのですか?……哀れですね」
眼鏡の女……プルミエール・レミューが憐憫の目で私を見た。……何と言う屈辱……!!
「お前たちは、自分たちが、何をしようとしているのか……分かっているのかっ!!?その行いは、神に背き、世界を破滅へと導くものだぞっ!!?」
「分かりません。1つ言えるのは、多くの関係のない人々の命を奪った貴方こそ、神に背く邪教徒であるということです」
「笑止っ!!邪教徒は人に非ずっ!!何より、命を奪ったのはあの邪教徒の成れの果てだっ!!」
「……詭弁も、いいところにゃ」
ゆらりと、亜人の少年が立ち上がった。疲弊しているのか、大分ふらついている。
「お前は、生きてはいけない存在にゃ。……デボラさんには悪いけど、代わりに仇、取らせてもらうにゃ」
レミューが私の額に銃口を向ける。……その手は震えていた。
「……プルミエールさん」
「ええ、分かってる」
……予定外、それも最悪の予定外だ。ここで終わるとは……
もはや「グロンド」も使えない。ここで、神に召されるのか……
刹那、視界の端にエストラーダの触手が見えた。
……否。まだ、神は私を見捨ててはいない。
「『騎士』よ、我が身を守りたまえッッッ!!!」
叫ぶと一瞬のうちに、私の身体は樹の枝で覆われた。
エストラーダは、エリック・ベナビデスに決定打を打ち込めないでいた。こちらの援護に少し回ったことで、徐々に劣勢にもなっていたようだ。
このままでは、どちらにしても終わりだろう。だとすれば……これしかない……!!
意識が、身体が溶けていく。……エストラーダに、生命を吸われているのだ。そして、魔力も、意識も……
その行き着く先は。
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