598: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/30(月) 22:03:31.38 ID:KnL3hUx3O
刹那、俺の視界が塞がれた。エストラーダが背中から生えていた枝を束ね、丸太のようにして俺に打ち付けてきたと知ったのは、その寸前だった。
「ぐおっっ!!!」
俺は大きくしゃがんだ。頭の上を、巨大な何かが通りすぎる。
そして、俺は短剣を構えて距離を取った。「加速」は一度解除している。
「驚きましたね。今のを避けるとは」
遥か向こうで、ガラガラガラと建物が壊れるのが見えた。さっきのヤツが当たったのか。
「アヴァロン……なぜこんなことをしているッッ!!!」
「貴方も含め、神の教えに反する者の『救済』ですよ……それより、オーバーバックさんはどうしました」
アヴァロンの額には皴が寄っている。怒りを必死で押し殺しているかのようだ。
エストラーダが再び触手を動かそうとしているのを、奴が手で制した。
「生憎だったな。奴は寝返った」
「……!!?馬鹿なっ!!!」
「信じるか信じまいが、お前の勝手だ。少なくとも、ここからは手を引いた。あとは、お前らだけだ」
アヴァロンの顔が紅潮した。
「……だからあの男を引き入れるのに、私は反対したのです……とにかく、貴方にはここで『消えて』頂きます」
アヴァロンの手が振り下ろされた。それを合図に、エストラーダが触手とともに俺に襲い掛かる!!
ビュンッッ!!!ビヒヒュンッッ!!!!
高速の鞭打が、風切り音を上げる。「5倍速」を発動しつつ、俺はそれを何とか交わす。
速度はさほどでもない。しかし、やはり問題は手数だ。そして、5倍速を解いた瞬間に……恐らく、俺は捉えられる。
アヴァロンが杖……恐らく「グロンド」を構えたのが視界のの隅に見えた。魔法の効果範囲は分からないが、あれに巻き込まれたら終わりだっ!!!
逃げる余力を考えると……「音速剣」を使えるのは、実質1回。今撃つべきか?それとも……
ビシイッッ
「グアッッ!!?」
触手のうちの1本が、かすかに俺の手首に当たった。短剣が、カランと地面に転がる。
ニヤリ、とアヴァロンが笑ったように見えた。……舐めるなっっ!!!
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