569: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/22(日) 14:21:11.30 ID:Y/Qr2n33O
もやもやした気持ちを抱えていると、玄関の方から声が聞こえた。
「今帰ったよ」
「お帰りなさい!どうでした」
居間に現れたデボラさんとシェイド君は、どこかすっきりしない表情だ。
「いい話と悪い話がある。いい話は統治府に潜り込めるめどが一応立ったということ。悪い話は、オーバーバックに襲われたってことだね」
「何っ!!?」
エリックが立ち上がった。シェイド君が険しい表情になる。
「エリックの言う通りだったにゃ。あいつはボクらの手に負えないにゃ。しかも、どうやってるか知らないけど、ボクらがどこにいるかを把握できてるみたいだったにゃ」
「……よく無事だったな」
「それはボクも驚いてるにゃ。帰りにもう一度襲われるかもとは思ってたけど、その気配すらなかったにゃ。
『何もしなければ見逃してやる』という言葉がどこまで本当かは知らないけど」
エリックが腕を組んだ。
「どういうことだ?」
「『契約』、とか言ってたね。あたしらを殺すことは、それに含まれてないと。
あくまでメディアを守ることだけが目的みたいだった」
「契約……相手はアヴァロンだな。そこまでして『万病の薬』とやらが欲しいのか?」
「さあね。ただ、恐らくはオーバーバックは、アヴァロンの警護までは任されてない。
あんたはアヴァロンを狙ってるんだろう?メディアにさえ手を出さなければ、多分上手く行く」
カルロス君の顔色が変わる。
「ちょ……ちょっと待てよ!!?じゃあ何か?メディアは見捨てるのか??」
「……オーバーバックをどうにかしなきゃいけないにゃ。デボラ姉さんにとってあいつは仇だけど……」
「仇?」
どういうことだろう?デボラさんの表情は沈んでいる。
「あいつは、母さんを殺したのは自分だと言った。多分、父さんも……。
ただ、相対して分かった。今のあたしやシェイドじゃ、そしてエリックでも、あいつは倒せない。本気で来られたら、多分……」
「……やはりか。メディア奪還は諦めて、アヴァロンの確保だけ考えた方が……」
「ふざけるなっっ!!!」
カルロス君が叫ぶ。
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