563: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/22(日) 14:10:33.25 ID:Y/Qr2n33O
……あたしの意識は、まだある。
腰の辺りを、誰かが強く抱き締めていた。
「限界突破(リミットブレイク)!!!!」
視界が一気に上へと移る。天井に当たると思った瞬間、目には家々の屋根が広がっていた。
「え」
ドスン、と衝撃が走る。シェイドが、私と一緒に屋根に降りたと認識するまで数秒かかった。
「逃げるにゃ」
「……は?」
「いいから逃げるにゃ!!!ボクにおぶさるにゃっっ!!!」
よく事態が飲み込めないまま、シェイドに背負われる。すると、風のように彼は屋根の上を走り始めた。……迅いっ!!
後ろから追ってくる気配はない。でも、彼は屋根から屋根へと飛び移る。私をおぶった状態で。……こんな力が、どこにあったのだろう?
不意に、彼が態勢を崩した。地面へと落ちそうになったのを見て、私は彼から離れる。そして、今度は私がよろめく彼を抱いて飛び降りた。
「ぐっ!!!」
肩と腰に強い痺れを感じた。いくら小柄でも、人を抱きながら数メドの高さから跳ぶのはさすがに厳しい。
シェイドはというと、はぁはぁと荒い息をついている。あたしを救うために、かなり無茶をしたのは明白だった。
「……ちょっと待ちな」
手を彼の額に当てる。恐らく、さっきの「限界突破」とやらは、相当に体力とマナを消費する魔法だったはずだ。
とすれば、これで何とかなる。手が黄色く光り始めた。
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