魔王と魔法使いと失われた記憶
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520: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/13(金) 20:52:05.12 ID:IYt6kOGhO
エリックが戻ってきたのは、何かあったんじゃないかと皆が……そして私が心配しだした頃だった。時計の針は10の半刻を指している。

「……今帰った」

「エリック!!」

思わず玄関まで駆け寄る。身なりはきれいなままだ。けど、表情は明らかに冴えない。「チッ」と彼が舌打ちをした。

「……どうしたの」

「いや……久々にコテンパンにやられただけだ」

「え」

「心配するな、最低限の収穫はあった。それと……シェイドを撃った男に会ったぞ」

「本当なのっ!?」

エリックが忌々しげに頷いた。

「傷を与えるどころか、有り金全て巻き上げられたがな……とにかく、皆を集めてくれ。シェイドは」

「……今起きたにゃ」

上から声がした。シェイド君が、デボラさんに支えられている。

「シェイド君っ!?」

「大丈夫、にゃ。……今の話、本当にゃ?」

「ああ。そっちの話も聞かせてくれ。メディアについては、最低限の情報は仕入れてきた」

「……そうにゃ。ボクも、色々気付いたことがあるにゃ」

ゆっくりと階段を降りてくる。居間から、カルロス君も顔を出してきた。

「メディアについて何か分かったのか!!?」

「ああ。平たく言えば、彼女は人間ではない、らしい」

「え」

衝撃を受けているカルロス君をよそに、シェイド君が「だろうと思ったにゃ」と呟いた。

「表情含め、受けた印象が人間のそれじゃなかったにゃ。魔獣とも違うにゃ」

「ああ。『女神の樹』の『一部』らしい。まるで……」

「昔話の巫女にゃ。でも人間じゃないというのは……」

「オーバーバックも知らないようだ。ただ、体液……多分、涙や血含めて……『万病の薬』らしいな」

カルロス君が「……え」と漏らした。

「……どうした」

「あ……いや。……彼女は、俺と……その、そういうことをするのを、すごく嫌がってたんだ。『まだ早い』って……」

「別に不自然でもないだろ?女ってのは、惚れた男でも……いや、惚れた男だからこそ、簡単に股は開かないものさ。
まだ出会って1ヶ月だろ?むしろ、恋人になるのが早すぎる……」

「いや、確かにちょっと変にゃ」



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