494: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/01(日) 21:13:49.05 ID:7lCLmiUQO
人の姿に戻ろうと思ったけど、ボクは思いとどまった。何故なら、少女の目には……あまりに「何もなかった」から。
確かに見た目は整っている。おっぱいもそこそこある。ただ、あまりに……人間味がない。そう、まるで植物か何かのような……
彼女がボクを見た。ゆっくりとこちらに近づいてくる。
逃げるべきか留まるべきか、ボクは躊躇した。逃げることを選択しようとしたその時、ボクは呼び止められた。
「あら、猫ちゃん……かな」
逃げようと思えばすぐ逃げられただろう。しかしボクは動かなかった。いや、動けなかった。
この少女、恐らくメディアという子だろうけど……普通じゃない。感情が、すぐには分からないのだ。
それだけじゃない。……香水か体臭か何かの、この匂い。甘い匂いが、ボクの身を封じた。
ボクはそのまま彼女に抱っこされ、頭を撫でられた。胸には、査証の首飾りがある。
「うふふ、かわいい猫ちゃん。人に慣れてるのかな」
メディアと思われる子は静かに微笑む。
このまま普通の猫のふりをしているのが、一番安全だ。……だけど、これはよく考えれば千載一遇の好機でもある。
無害なふりをするのは、やめろ。
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