魔王と魔法使いと失われた記憶
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487: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/01(日) 21:04:10.25 ID:7lCLmiUQO

「ハーベスタ・オーバーバック」……聞いたことがない名前だ。私はもちろん、エリックもデボラさんも、そしてシェイド君も首を捻っている。

「誰にゃそいつ」

「俺が知るかっ!……ただ、間違いなく……只者じゃない。それは俺にすら分かった」

「テキ」を一口飲んで、デボラさんがふーっと息を吐いた。私の酔いも、大分覚めてきている。

「赤い何か、ねえ。武器、あるいは『遺物』かい」

「ボクは分からないにゃ。一応、『遺物大全』は一通り読んだけど、ちょっとピンと来ないにゃ。ただ……」

「銃の類いだな。馬に乗っていたのを次々殺したという辺り」

エリックにシェイド君が頷いた。

「魔法かもしれないけど、そうかもにゃ。ただ、銃の『遺物』は知らないから、多分未確認のにゃ。もちろん、それが『遺物』って保証もないにゃ」

「とにかく、覚えておく必要はありそうだねぇ……」

アヴァロン大司教の仲間だろうか?それとも、もっと別の誰か?
分からないけど、やっぱり簡単にはいきそうもない。

「ま、考えてもしょうがないさ。とっとと引き揚げて寝る……」

「待て。俺はあんたらは知っている。だが、この眼鏡の女と亜人のガキは誰だ?あんたらの仲間みたいだが」

カルロス君の言葉に、シェイド君が不快そうに笑った。

「ガキにゃ?お前より年上にゃ、敬語使えにゃ」

「何っ!?偉そうに言ってんじゃな……」

「ちょ、ちょっと!!喧嘩は止めなさいって」

シェイド君がぷくっと膨れる。

「む。締めてやろうと思ったけどプル姉さんの言うことなら従うにゃ」

「は!?何様だっっ!?」

「ボクの名はシェイド・オルランドゥにゃ。大魔法使い、ジャック・オルランドゥの弟子にして養子にゃ」

「……え?」

エリックが呆れたように首を振った。

「弟子も養子も自称だろう」

「に゛ゃっ!?でも、大体その通りにゃ?」

「まあ、好きに言えばいい。ああ、こいつの腕が立つのは本当だ。手を出すなら命の覚悟ぐらいはした方がいい」

カルロス君は唖然とした様子だ。ちょっと空気を変えなきゃ。

「えっと、私はプルミエール・レミュー。オルランドゥ魔術学院の学生……をやってました」

「あ、ああっ。よ、よろしく頼む」

デボラさんがやれやれと苦笑した。

「ま、自己紹介はそこまでだね。明日も早いから、今日はここでお開きにするよ。部屋割りは男女別でいいね?」

「えー、お姉様と一緒じゃな……何でもないにゃぁ……」

睨まれたシェイド君が小さくなった。

「カルロスはどうするんだい。仇のあたしらと一緒が嫌というなら無理強いはしないよ」

「……背に腹は変えられない。頼む」


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