魔王と魔法使いと失われた記憶
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472: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/24(土) 22:32:35.56 ID:bALXQCzKO
「そうなのにゃ?」

いつの間にかミルクのようなものが入ったグラスを手にして、シェイド君が言った。

「ロックモールでは奴らに働いてもらうつもりだったんだ。でも、軍隊が来ているってことは、あまり期待できないかもしれない」

「軍隊は、俺たちに対する備えだろう?」

「多分ね。それと同時に、ゴンザレス家に圧力をかけてるのさ」

主人が私たちにお酒のグラスを手渡した。

「何やら訳ありみてえだな。まあ、くれぐれも気をつけな。厄介事に巻き込まれたくねえなら、ロックモールは素通りすることを勧めるぜ」

「生憎、そういうわけにもいかな「何でダメなんだよっっ!!!」」


激しい叫び声に、私たちはそっちの方を見た。酒場の隅で、若い男の人が傭兵の胸倉を掴んでいる。


「金なら幾らでも出すっ!!だからお願いだ、俺に雇われてくれっっ!!!」

「無理なものは無理だ。命は惜しいんだよ、他当たんな」

「100万ギラでもかっ!!200、いや300万でもっ……1000万!!!どうだ!!?」

「命の値段としては安すぎだな」

傭兵は見るからに歴戦の強者っぽいけど、男の人は随分と若い。私よりは下、見た目だけならエリックより少し上といったぐらいか。男の人はその場に崩れ落ちる。

最初は興味なさそうにしていたデボラさんが、急に目を見開いた。

「……驚いたねぇ……あそこにいるのは、まさか」

「……!!!ああ、そうだ。間違いない」

「エリック、知ってるの?」

エリックは「テキ」を一口飲んだ。


「ああ。あいつは、ゴンザレス家『現当主』。カルロス・ゴンザレスだ」





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