467: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/24(土) 22:28:21.39 ID:bALXQCzKO
「どうもお世話になりました」
私は深く頭を下げた。馬には既に荷物は積んである。エリックは既に馬上の人だ。
数日間、教授も交えて厳しい修練をしてきた。ある程度の手応えは感じている。疲労も、昨日の休養日で大分取れたと思う。
「いいのよ。私も久々に貴女たちに教えられて楽しかったわ」
「ひぐっ、教授ぅ……」
エリザベートが教授に泣き付く。彼女は笑って頭を撫でた。
「別に今生の別れでもないでしょう?特に貴女は」
「でも……トリスで何があるか分かりませんし……」
「……そうね。『シェリル』については、私も知りたいし。……聞いているんでしょう?マリア・マルガリータ」
「え」
ニコリと教授がエリザベートに笑いかけた。
「どうしてそれを」
「彼女の魔法……いや、『秘宝』も使ってるのかしら。『千里眼』については、さすがに知ってるわ。トリスとしては最高機密なんでしょうけど」
ジャックさんが頷く。
「全貌を知ってるわけじゃないがな。特定の相手の視野などを共有するとは聞いている。エリザベートも似たようなのは使えるな」
「まあ、お前さんたちならバレていると思ってたけどな」
「バイク」に跨がりながら、ランパードさんが肩を竦める。
「そこまで織り込み済みか、ランパード卿」
「俺に女王陛下の深い御心は分からんよ。向こうからこちらには何もできねえしな。
ただ、戻ったら何かしらの動きはあるはずだ。『シェリル』がどの程度関与しているのかいねえのか、多分調査は始まってる」
「ブロロッ」と「バイク」から低く重い音がした。ランパードさんは僅か数日で、これを乗りこなせるようになったらしい。
「じゃあ姫様、後ろに乗ってくれ」
「……うん」
エリックがランパードさんを見た。
「そっちの用件が終わったら、どうする」
「多分俺に出されるのは、テイタニアの討伐指令だ。エリザベートを連れていくかは知らねえ。危ねえ橋を渡るから、俺としては国許に置いときたいが」
「嫌よ。貴方についていくもん」
ランパードさんの腰に、エリザベートが後ろからぎゅっと抱き付いた。
「……とこれだ。まあ陛下もエリザベートには甘いからな」
「そうか。まあ、近いうちに会うことになりそうだな。生きていれば」
「お互いな。じゃあ、世話になったな!また会おうぜっ!!」
ブロロロロ…………
2人を乗せた「バイク」が急速に小さくなっていく。私たちも、そろそろ出なければいけない頃だ。
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