444: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/21(水) 19:10:20.16 ID:mjsf9+/tO
リリス・リビングストンは拘束衣に身を包んで寝かせられていた。俺が気絶させた後、即座にかなり強い睡眠魔法をかけられたままだ。
幸い、デボラならベーレン候同様に「治療」はできるはずだ。あまり「巻き戻す時間」が長くなければ、だが。
「……辛そう……」
「同情は後にしろ。先にやるべきことをやれ」
「……分かってるわよ」
プルミエールは「追憶」を彼女の身体にかけ始めた。差し当たり、俺がファリスを殺した翌日の昼……アヴァロンがエストラーダ候を「消して」からの記憶を見ることにする。
「きゃっ!!?」
水晶玉には汗だくの男の裸が見えた。どうやら事を致している最中のようだ。
『はあっ、はあっ』
『もっと!もっとですわ……!!』
プルミエールが目を覆う。
「な、何でこんなのがっ!?」
「こいつはモリブスの娼館協会の会長だぞ?客を取ってもおかしくはないだろう」
「で、でもっ!……こんなの見るの、初めてで」
「……ふん。『早送り』すれば済むだろう」
プルミエールは顔を真っ赤にして水晶玉に映る映像を先に進めた。
こいつが処女なのは容易に想像がつくが、それにしても免疫がないな。……まあ、俺もそう経験が多い方でもないが。
それにしても、昨日あんな大胆なことをしておいてこれとは……やはり、大した意味はないのか。俺は軽く息をついた。
水晶玉の中ではさっきの男が去り、リリスが身を清め始めた。さっきの嬌声が嘘のように、鏡に映る彼女は醒めた表情をしている。
「……ふと思ったのだけど、この人ってそこまで歳でもないのに、そんなに偉いの?」
「エルフは長寿かつ老けにくいからな。どこの街でも花街の元締めは大体エルフだ。多分こいつ、80歳近いぞ」
「えっ……でも、どうして」
「エルフは子供ができにくいからな。元来好色なのもあるが、血を繋げるために娼婦になるのも少なくない。
そして、世界各地の花街の娼婦を『草』とし、情報収集をしているのがランパードというわけだ。……呼ばれたな」
リリスは身支度をして客を迎えに行く。その先にいたのは……
『ご指名頂き、ありがとうございます。……『シェリー』様」
「『シェリル』!!?」
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