433: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/19(月) 18:21:06.46 ID:tjvlTkr2O
「んー!やっぱりシェイドの料理は美味しいわねぇ」
教授が美味しそうに「レー」の匙を口に運ぶ。真っ赤なその見た目からは、とてもそれが食べ物だとは思えない。
「えっと……それ、辛くないんですか?」
「辛いわよ?でも、疲れを取るには食べなきゃ。特に、エリック君、だっけ?貴方は特に食べた方がいいわよ、昨日相当無茶したでしょ」
エリックは無言でお米とともに「レー」を口にする。
「……旨いな。新しいレシピか」
「にゃ。南ガリアから『トマの実』が流通するようになったから使ってみたにゃ。見た目ほど辛くはないから、プルミエールさんも食べるといいにゃ」
本当に大丈夫なのだろうか。恐る恐る口に運ぶ。
…………
「辛っ!!?」
エリックが呆れたように息をつく。
「つくづくお子様舌だな。こんなので音を上げていたら話にもならんぞ」
「いや、ちょっと……これは大人でも無理よ、そう思わない?エリザベート」
モグモグと口を動かしながら、ふるふると彼女は首を振る。
「おいひいよ?最初だけだほ」
「え、エリザベートまで??」
「いい加減モリブスの味にも慣れてくれないとな。やっと修練に専念できるようになったわけだからな」
ジャックさんも苦笑する。私は渋々、もう一度「レー」を口にした。……確かに、辛いだけじゃなくてその奥には深い甘味がある気がする。我慢すれば、食べられないこともないかな……
「んぐっ。ビクターにも食べさせてあげたいけど、あの分じゃしばらくはかかりそうですね」
そう。この食卓には彼の姿はない。襲撃を受けたワイルダ組の対応に当たっている、デボラさんもだ。
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