391: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/13(火) 22:01:43.69 ID:ARENFlNKO
しまった!!もう、私たちがいる場所も見つかってしまった!?
そう思った瞬間、黒猫は窓の隙間から入ってくるとクルッと一回転して……男の子の姿になった。肩の力が抜けていく。
「シェイド君!!?」
「良かったにゃ、不安だったからご主人に少し様子見てこいって言われたけど、上手く行ったみたいにゃ」
「そんなことより!!シェリルがここに来てるみたいなの!!エリックは深手を負ってるし……」
「……シェリル?」
私は水晶玉をシェイド君に見せた。彼は怪訝そうに首を捻る。
「これ……多分ダークエルフじゃないにゃ」
「え?」
「うっすらと身体の周りにマナが見えるにゃ。多分、僅かだけど幻影魔法で認識をずらしてるにゃ。
肌の色を変えてる可能性が高いにゃ。シェリルとは別の個体にゃ」
「でも、この強さは……」
「トリスのことは知らんにゃ。貧乳、そんな使い手トリスおるにゃ?」
エリザベートが力なく首を振った。悪口を言われたのに全然反応しないなんて、彼女らしくもない。
「……にゃあ。しかし、こいつが遺物持ちなのはただ事じゃないにゃ。多分、『中枢』じゃないと思うけどにゃ」
「どうして分かるの?」
「そりゃモリブスにある遺物なんてボクでも分かってるにゃ。で、『エオンウェ』なんて知らないにゃ。つまり、こいつは余所者にゃっ」
口調のせいで軽く聞こえてるけど、早口で捲し立てるシェイド君の言葉からははっきりとした焦りが感じられた。混乱してるんだ、彼も。
「『中枢』はあくまでモリブスの人ってこと?」
「そうじゃなきゃベーレン候の喉元まで食い込めないにゃ。で、こいつはその協力者、あるいは上司」
「ジョニィ・ラミレス……は男性よね」
「にゃ。でも、ジョニィは大の色狂いにゃ。よくモリブスの花街に来てるらしいにゃ。夫婦関係は確か冷めきってたはずにゃから……」
エリザベートが急に頭を上げた。
「そうか!花街に『中枢』が……!!」
「それだ!でも『憑依』された人が多すぎて脱出できなくなってる……」
「娼婦にとってキスは当たり前だから、急速に『憑依』の範囲は広がるわ。で、ラミレス家を支配し、ベーレン候まで……」
「始末が悪いにゃ。エリックは……」
ベッドに寝かされている彼を見て、シェイド君が顔をしかめた。
「さっきのにやられたにゃ?」
「うん……動けるようになるまでもう少しかかると思う」
「分かったにゃ。とりあえず、『エオンウェ』が何か調べてくるにゃ。ボクが戻るまで何とか耐えろにゃ!!」
761Res/689.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20