390: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/13(火) 21:59:26.20 ID:ARENFlNKO
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ラファエルさんが別室のベッドに彼を寝かすと、私はすぐに詠唱を始めた。「戻す」時間は短いのでさほど苦でもない。水晶玉に、彼の見ていた景色が浮かび上がる。
……外套の女が、そこにいた。胸の大きさで、それが女だと分かった。
異常に大きな斧を持っている。あんなものを軽々使えている時点で、明らかに常人じゃない。
『震……さい、『エオンウェ』』
女が言うと、急に視界がブレた。あれは、多分「遺物」だ。それも、相当に強力な。
「『エオンウェ』?エリザベート、知ってる?……エリザベート??」
エリザベートから、感情が抜け落ちていた。見てはならない何かを見たかのように。
「ねえっ、どうしたのよ??」
「……これ」
一瞬だけ、女の顔が見えた。歪んだ笑いの、女の顔が。
はっきりと見えなかったので、一度「巻き戻す」。そこにいたのは……褐色の肌のエルフ。
「……ダークエルフ???」
エリザベートが頷いた。
「ダークエルフが、外をうろつけるはずがない。でも、でもお母様が見逃すはずなんてっ!!」
「落ち着いて!!シェリルと決まった訳じゃないでしょ??」
「でも……これは間違いないの。そう……間違いなくこれは……」
ダークエルフ。そして、それは……シェリルしかいない。
「六連星」が自ら、エリックを始末しに出向いてきた。状況は……物凄く悪い。
そして、ランパードさんが動けない理由も分かった。下手に動こうものなら、殺されるからだ。
なら、今彼はどこにいる?考えろ。考えるんだ、私!
ニャア
窓の外で黒猫が鳴いた。血の気がさらに引いていく。
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