魔王と魔法使いと失われた記憶
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374: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/11(日) 20:47:46.55 ID:Plru0K4UO
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彼女たちが去って半刻。弱っていた件の野良猫が、ベーレン侯の私邸に入っていくのが見えた。
回復魔法でもかけてもらったのだろうか、多少は元気そうになっている。猫の首輪には筒のようなものがある。あれが肝だ。

中には、手紙が入っている。脅迫状だ。


「ベーレン侯は預かった。夫人独りで迎えに来られたし」


これに釣られるのかどうか。書かれていることは確かに事実ではあるが。

ベーレン候とラスカ夫人との関係は良いと聞いている。普段ならば……あるいは「憑依」の範囲が限定的ならば、出てくるはずだ。
しかし、もし罠と気付かれたら……別の方法を考えねばならない。その場合、警戒心が高まった相手に仕掛けることになる。成功の公算は、さらに薄くなるだろう。

俺は雨の中、身動きせずにただ待った。南国でも、雨の冷たさは体力を奪う。あまり長くはいられない。


……中年の婦人が門から出てきた。あれか。


俺は「加速」を使おうとマナを溜めた。修練のおかげで、「5倍速」を使える回数は増えている。大丈夫だ、賭けには勝っ……




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