魔王と魔法使いと失われた記憶
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349: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/06(火) 21:04:26.52 ID:ZGv8N3vbO
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「……ハッ」


私は正気に戻った。執務室の机に、突っ伏していたらしい。
時計を見る。幸い、意識を失っていたのは10分程度だったようだ。

ノックの音がする。

「陛下」

「入れ」

深く一礼して、その翼人は入ってきた。短く切り揃えられた金髪の男が、指を眼鏡に当てる。

「時間です」

「……そのようだな」

私は、机の釦を押した。本棚が独りでに開き、その中から巨大な「モニター」が現れる。


そして、その画面は瞬く間に6分割された。出席者は……3人か。


「まず御苦労様です、アヴァロン大司教。今どちらに」

『ロックモールですよ。色事に興味はないですが、ここしか会談ができないなら仕方がない』

「テルモンの状況は聞き及んでますか」

『ええ。カール・シュトロートマンが動いたようですね。あの暗愚なゲオルグでは、対応しきれますまい』

「貴方自ら向かう必要もないでしょう。エリック・ベナビデスと……プルミエール・レミューの捕縛を優先しないとは、貴方らしくもない」

『ユングヴィの教えを守ることの方が重要です。何より、血を見るのは苦手なのですよ。殺生は神の思し召しにも反します故』

澄ました顔で良く言う。自分が殺すか、魔獣に殺させるか程度の違いでしかない。この偽善者が、私は堪らなく嫌いだ。



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