魔王と魔法使いと失われた記憶
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258: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/15(火) 19:43:21.94 ID:mfBVGPEoO


いつか、こうなることは分かっていた。


もし地獄があるとするなら、私の末路はそこだろう。赦されようとは思っていない。
でも、薄れゆく視界の中、私の心によぎったのは……後悔だった。


私は、ずっとお父様のために生きてきた。私にとっての世界は、お父様だけだった。
だから、お父様のお役に立ちたくて、私は禁忌を犯した。それが二度と戻れない過ちだとしても。
そうすることが、私の生きている証になると信じていた。お父様の思念からクドラクの「活躍」を読み取る度に、私は例えようのない喜びを得られた。


でも、死と共に呪いから解き放たれようとする今なら、それはどうしようもない誤りであったと分かる。
そう思うことこそ、まさにアミュレットの呪いだったのだ。


お母様もまた、それに囚われていたのだろう。だから、アミュレットとドレスを私に託した。
お母様を恨む気持ちはない。ただ、なぜ呪いにかかってしまったのだろうという疑問はある。


それは決して、私には知り得ないことだ。
ただ、一つ言えるのは……私もお母様も、救われない存在であったという事実。


目が掠れる。目の前で、プルミエールさんが泣いている。貴女を殺そうとした、私のために。





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