202: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/07(月) 21:38:42.22 ID:EdEU0WzCO
クドラクが、こちらを向いたのが分かった。
「ジャマスルナ、イシャ」
「ぐっ……行かせるかよっ!!」
日は徐々に沈み始めている。これ以上暗くなると、完全に姿は把握しきれなくなる。足止めできるのは、今しかねえっ!!
俺は逃げ出すクドラクを追いながら詠唱を始めた。プルミエールはさっきの一撃のお蔭で10メドほど先にいる。間に合うはずだ……多分。
「星の力よ、我に力をっ……重力波(グラビディ)っ!!!」
プルミエールに追い付きかけていたクドラクの足が急に止まる。上手く行ったっ!!
荒事はあまり得意じゃねえが、これだけは自信がある。
重力波。見えない波動を当てることで、相手の動きを著しく鈍らせる。これと居合術の組み合わせは、幾度となく俺を助けてきた。
逃げるんじゃねえぞ、今度は確実に斬……
ズズッッ
「……嘘だろ!!?」
クドラクが、プルミエールを追おうとしている。もちろんさっきよりは遅い。しかし……それでも成人女性並みの速さで、彼女を追い始めた!?
「ぐっ……」
俺は刀を握る右手に力を込めた。重力波の効果はそう長続きしねえ。それにしても、あれだけの短時間で動けるようになるとは……怪物だ。
それでも、もう一撃……!!
ズバッッッッ!!!!
脇腹を、熱い物が貫いた。……短刀だ。迅、過ぎる。
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