魔王と魔法使いと失われた記憶
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177: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/03(木) 19:22:18.38 ID:2/zsC842O

「ん、来たな」

噴水前でランパードさんは待っていた。左手に持っていた水筒を鞄にしまう。少し、お酒の臭いがした。

「大丈夫なんですか?飲んでて」

「気付け薬のようなもんだ。で、お前さんたちはどうするんだ?何かしら策はあるんだろ」

私は簡単にこれからの動きを説明する。最後どうするのかを決めるのが私だと告げると、少し驚いたような顔をされた。

「ファリスに会わせることは認めたが、そこまでの権限を与えんのか?
そもそも、ファリスは間違いなくクドラクだ。普通に見逃すのはあり得ねえぞ?」

「……分かりません。でも、彼には彼なりの考えがあると思うんです。
それに、もし凶行が彼女の意思ではなく、『遺物』のせいだとしたら?病気だって、あのアミュレットとかのせいなんでしょう?彼女からそれを引き離せば……」

ふーっ、とランパードさんが息をついた。

「俺は嘘をついた。施術の成功確率な、5分は大嘘だ。せいぜい1割っきゃない。
脳と肺の病巣は、アミュレットのせいだとしても取り除くのは困難だ」

「え」

「1割の確率でしか助からねえってエストラーダに告げたら、確実に追い出されるだろ?だからああ言った。
どっちにしろ、ファリスは助からねえ。なら、これ以上の犠牲が出る前に何とかしてえんだよ」

「『遺物』を彼女から引き離せばいいだけじゃないですか?それに、治る可能性はゼロじゃないんでしょう?」

「……まあ、そうなんだがな」

ランパードさんは奥歯に物が挟まった言い方をする。魔王が「エルフは信用ならない」と言った理由が分かる気がした。この人は、いつも核心部分を隠している。

「何かあるんですか?教えてください」

ランパードさんが辺りを見た。

「……ここじゃ話せねえな。俺らに気付いちゃいねえが、向こうに怪しいのがいる」

チラリ、と視線が右を向いた。15メドぐらい先のベンチに、新聞を広げている男性がいる。……離れているけど、かなりの魔力の持ち主なのは分かった。背筋に冷たいものが流れる。


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