魔王と魔法使いと失われた記憶
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167: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/30(日) 20:48:09.38 ID:GOi8ToA6O
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「……家業?」

「ベルチェル家は昔暗殺者を多く飼っていたらしいな。とすれば、これを使っていても驚かない。
この2つの組み合わせか……なるほど、相性はいい」

ふーっ、とジャックさんは白い煙を吐いた。

「……私が見たあの歪みは、ひょっとして」

「ドレスの生地、だったのだろうな。周囲に姿を溶け込ませる効果か……厄介だな」

「どう対応すればいいんでしょう?」

暫くジャックさんは考えていたが、やがてニヤリと笑った。

「……エリックなら何とかできるな」

「そうなんですか?」

「本人にこの話をしたら、俺と同じ結論に辿り着くはずだ。
まあ、それについては本人から聞いてくれ。ここで出歯亀している奴には聞かれたくないだろうからな」

「え」

ジャックさんは呆れたように灰皿に煙草を押し付ける。

「俺が気付かんと思ったか?部屋の隅だ」

彼の視線の先にはネズミがいた。「しまった」と言わんばかりにそれは穴からどこかに逃げていく。

「あれって……」

「『憑依(ポゼッション)』だな。小動物を操り、感覚を共有する。諜報活動には最適な魔法だ。
使えるのはごく限られたエルフしかいないが、まさかそいつが協力者か?」

「……はい」

嘘をついても仕方がない。それにしても、ランパードさんが盗み聞きとは……正直ショックだ。

ジャックさんは「やれやれ」と首を振った。

「連中を信用しすぎるな。奴らはいざとなれば簡単に裏切る。エリックも言っていただろう」

「……すみません」

「……外にいるのはトリスの高位にある人物か。エリザベート・マルガリータの差し金かもな」

「えっ」

「あの女、馬鹿に見えてなかなかの狸だぞ。まあ、アリスがお前とエリザベート姫を同じ研究室にしたということは、あいつなりの考えがあるんだろうが。
とにかく、奴らを100%の味方とは思わんことだ。奴らは奴らなりの目的があって動いているからな」



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