魔王と魔法使いと失われた記憶
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163: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/30(日) 20:46:08.03 ID:GOi8ToA6O
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「今日はお前だけか」

意外そうにジャックさんが言った。既にウィテカーさんの魔法の効果は切れている。

ランパードさんは「俺は外で待つ」と控えていた。ジャックさんと顔を合わせたくない事情がありそうだけど、そこは今問題じゃない。

「はい。……私がクドラクに襲われたところを、まお……エリックが庇って」

「容態は」

「大丈夫です。デボラさんが治してくれましたので」

ジャックさんがふうと息をつく。

「そうか、あいつらともう会っていたか。俺のことも聞いてるな」

「ええ、後見人だとか」

「一応な。で、俺の所に来たということは収穫があったということだな」

私はクドラクの正体がファリスさんかもしれないことと、アミュレットの話をした。ジャックさんは煙草を吸いながら黙って聞いている。

「それで、アミュレットと……多分ドレスなんですけど。『遺物』だとしたら、心当たりはありますか」

「ちょっと待ってろ」

ジャックさんは本棚から厚い本を取り出す。

「それは?」

「今まで判明している『遺物』の一覧だ。まあ国家の最高機密として秘匿されているものも少なくないが、それでも結構な範囲では押さえられてる。
オルランドゥには『遺物』の研究者もいるからな。管理者たる俺の所にも、ある程度の情報は集まっている。……アミュレットとドレスだったな」

横から覗くと、まるで辞典のように索引がある。……こんなに「遺物」ってあったんだ。

「一応言うが、『遺物』もピンキリだ。『3級』だとただの魔術具に毛が生えた程度の力しかない。普通にそれと知らず売られてたりもするからな」

「……どこにあるのかまで記録されてるんですね」

「こいつは第6版だから、情報は今から5年前時点のものだな。言うまでもないが、この一覧自体がかなりの希少品だ。オルランドゥでも、数人しか持ってないはずだな……と、アミュレットはこの辺りか」

ジャックさんが指差したページには「聖人ディオのアミュレット」とある。挿し絵は……まさしく私が見たあのアミュレットだ。

「『2級』……ですか?」

「等級は評価者が独断と偏見で決めてるからな。そもそもこいつは初版から記述が変わってないから、あまり当てにはならんぞ」

記述を読み進める。……これは。




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