112: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/18(火) 21:15:22.85 ID:8Z5elHuBO
「……やれやれ」
「『やれやれ』じゃないわよ!もう少し穏便にできないの?」
「穏便にできないのはあいつの方だ。そもそも、お前はモリブスのユングヴィ教団の事情を知らんだろう?」
「……え」
魔王は呆れたように首を振った。
「ユングヴィ教団の中で、ミリア・マルチネスは改革派だった。ジョイス・ベーレンに近い立場だったと言える。
ただ、ルイ・ネリドら主流派はずっと煙たがってたからな。主流派は『無頼衆』ともつるんでいたから、改革派の首魁の死は好都合なんだよ」
「え……そうだったの?詳しいのね……」
「俺もそこそこ長くモリブスにいたからな。このぐらいは知っている。マルチネスが死んだ、ということはこれもジャックが言っていた一連の殺しとみて間違いない」
魔王が花束の山の前にしゃがみこみ、少しだけ手を合わせた。私もつられて同じようにする。
「……さて、やるか。『追憶』は使えるな?」
「2日前の宵8刻、よね。少し時間は掛かるけど」
「思い出させる」までの時間が長いほど、魔力も時間も消費する。半刻で終わらせる自信はそんなにないけど……やるしかない、か。
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