104: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/16(日) 17:10:19.65 ID:cAlXBzjlO
「要は冤罪の可能性がある、ってことだ。まあ、ケインがサンタヴィラ王国を壊滅させたという証人は『三聖女』がいるわけだがな。だが、絶対にあれには裏がある。
それが分かれば、魔族復権につながる可能性すらある。そうだろ、エリック」
魔王は「……ふん」と短く言った。
「……さっきから不機嫌だな。まあいい。で、それを知るにはプルミエール・レミュー、だったか?お前の『追憶』が必要だ。ただ、今のお前の力量ではとても20年前のことまでは『思い出させられない』」
「ちょっと待ってください!?私、名前言いましたっけ??」
「言ったろ?俺は魔術学院の管理者だと。ある程度生徒の情報は知ってるんだよ。勿論、その研究内容もな」
そうか、魔王が私のことを知っていたのは、この人経由だったのか。少し腑に落ちた。
「で、修業を付けてやるってわけだ。アリスは優秀な魔術師だが、研究者肌だからな。マナの効率的な作用方法を教えるには、俺の方が向いている。まあ、厳しく行かせてもらうが、そこは覚悟しとけよ」
「はっ……はい」
「あと、勿論ただで教えるわけじゃない。ちと、その前にやってもらいたいことがある。お前ら2人でな」
「え」
魔王も訝し気な顔になった。
「どういうことだ?」
「ぼちぼち貴族連による次期統領選挙が始まるわけだがな。有力候補者とその周辺で、殺しが相次いでいる。現統領で俺のダチ、ジョイス・ベーレンも側近が殺された。
序列2位の貴族、ロペス・エストラーダの周りだけ被害がないからこいつの指図だとは思うんだが、証拠がない」
「まさか、その証拠を?」
「そういうことだ。レミューをここに呼んだのは、そういう背景もある。『追憶』を使い、調べてもらいたい」
ゴクリ、と私は唾を飲み込んだ。……まさか、モリブスの権力争いに巻き込まれるなんて。
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