【安価コンマ】貴方は世界を巡るようです 9巡目
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809: ◆Nq0wl2Ysns[saga]
2020/11/07(土) 23:35:40.27 ID:Jggx9OvA0
ピーッ!!! っと今日何度も聞いた音が辺りに鳴り響くと同時に、魔法使い全員が前に進みだした!

そして、その先頭を駆け抜けていったのはやはり風の精霊であるセロだった。

セロ「――――」

ワイズ「くぅ……!」

セロの後を追うように僕も飛んでいく。この時点で、僕とセロは他の魔法使いを圧倒していたが……今の僕にはそんなことを気にする余裕はなかった。

――流石といっては何だが、セロは風の使い方が尋常じゃないくらいに上手だった。

風という風がセロの背中を押し、どんどんと加速していく――その姿は、まるでセロ自身が突風になったみたいで。それに比べると僕はそよ風のようだった。

腕と一体化した羽を動かして前にするすると進んでいく。が、その際に生じる風すらもセロの突風の一部になってしまう。僕という風はセロという大きな風に飲み込まれてしまう。

ワイズ「ぃ――――」

正直、だ。

風の精霊であるセロの後を付いて行くだけで精一杯――一瞬でも気を抜けば風に負けて地面に叩き落とされてしまいそうだ。

前に進めば身体のバランスが崩れ落ちそうになるし、前に進むのをあきらめると地面に落ちる。なんだ、どっちも僕が死んでしまうじゃないか。

つまり僕が死なないようにするにはこのまま、ギリギリのところでセロの後ろを追いかけて行って現状維持のまま二位になれば、安全にこの箒エアレースを終えることが出来るんだ――。

――――なんてことを考えれば。それはそれで、僕は「死んで」しまうだろう。

ワイズ「――――っ」

セロ「……?」

歯を食いしばり、心の中でセロに向かって手を伸ばす。

セロという風、暴風の隙間を掻い潜り。僕というそよ風が少しずつ少しずつ前に進む。

一センチ、一センチ、一センチ。と前に進んでいく。

セロ「――――ちっ」


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