54:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:48:17.28 ID:qe4+sBJv0
ゆっくりと眼を開ける。
しなやかに伸びた睫毛を夏の風が撫でる。
徐に上体を起こし、いつも綺麗に整えているブロンドの髪をかき上げて、マリーは昼寝をしていたことに気づいた。
「昼寝するなんて珍しいわね……。」
──悪い夢を見ていた。
やたらとうるさい夢だった。
静かなモノクロの世界で一人快適に生きていたのに、急にうるさい声が響いて景色に色がついて。
でもなんだか、懐かしくて心地よい夢だった。
上体を起こした今は、不思議と夢の断片も覚えてられないほど朧気になってしまったが。
(なんだか頭が痛いわね……)
左手で頭を掻きつつ欠伸をするマリーの手が、何かに触れた。
小綺麗な便箋には、丁寧な字で『マリー様』と記されている。
その封筒を見たマリーは小さく舌打ちをする。
やれやれ。面倒事じゃなければいいんだけれども────。
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