17:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 17:20:21.90 ID:W5lmC8VA0
曖昧な返事をして首を傾げる私に、彼女はクスリと優しく笑って、丁寧に言葉を紡いだ。
「お散歩が、好きなんです。
綺麗に咲いたお花、吹き抜ける風、空にかかる虹……さっきのあの子だけじゃなく、色んなものに出会うことができます」
手に持ったカメラを弄りながら、彼女は照れ臭そうにはにかむ。
「そうした出会いは、何となく幸せな気持ちになれるから……。
お散歩の中で、自分が感じた幸せを、誰かにおすそ分けできたらって思って、写真を撮り始めただけなんです。
だから……幸せを感じられたら、それでいいかなぁって……へ、ヘンでしょうか?」
「ううん」
今度は私が首を振る番だった。
「今日の私が何となくお散歩したくなったのも、きっとそんな感じだから、全然ヘンじゃないと思うよ。
私の方こそ、あなたという素敵な出会いをありがとう」
「い、いえいえ! そんな、こちらこそ……何だか、恥ずかしいですね」
「何で? 恥ずかしがる事じゃないでしょ?
あ、ひょっとして私との出会いは、あなたにとってそんなに幸せでもなかったのかな?」
「そ、そうじゃありません!」
イジワルを言って笑うと、彼女もちょっとだけ顔をむくらせ、すぐにプッと吹き出すように笑った。
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