12: ◆jsQIWWnULI
2020/06/20(土) 20:08:00.62 ID:5N5BJxwZ0
アイさんはケタケタと笑いながら、私の頭を撫でた。
「そんなに仰々しくしなくても大丈夫だよ。ほら、頭上げて」
私はアイさんに言われた通り、頭を上げる。愛さんは私の目を見ながら、笑う。そして、言う。
「いらっしゃい、藍子ちゃん。ようこそ、ネオ・ヴェネツィアへ」
「ぶいにゅ!」
その瞬間、近くのカモメたちが一斉に飛び立った。白い羽が辺りを舞っている。
今から、始まる。私の憧れだった生活が、今から。
「さあ、じゃあ、さっそくARIAカンパニーに行こっか」
アイさんは私に背を向けると、船がたくさんある方へと歩き始めた。私は、なんだかずっとこの瞬間を感じていたくて、訳もなく自分自身を抱きしめた。
「藍子ちゃ〜ん!こっちだよ〜!」
気が付くと、先に言っていたアイさんが、私を手招きしていた。
「は、はい!今行きます!」
私はリュックを背負いなおすと、駆け足でアイさんの元へと向かった。
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