42: ◆uYNNmHkuwIgM[sage saga]
2020/06/12(金) 22:33:34.00 ID:BHjCA0Mo0
「何があったかは、だいたい姉さんから聞いてますよね?」
可奈さんは、フンフンと鼻息を荒くして大きく頷いた。可奈さん、話を聞いてくれるのはありがたいですけど、そこまで前のめりに来られるとちょっとたじろいでしまいます。
そんな可奈さんの様子に少し心が軽くなり、思いの外言葉はスルッと出てくれた。
「姉さんに言われた『ちょっとのお金』って言葉が、俺には耐えられなかったんです。俺なりに、頑張って稼いだお金だったから。」
「身勝手ですよね?いらないって言われてるのに勝手に押し付けて、自分はダメだってわかってるのにそれを言われてキレるなんて。」
可奈さんは俺の話を聞いて、考えているようだった。10秒、20秒と沈黙の時間が過ぎていく。時計の秒針が進むごとに、罪悪感がモヤモヤと立ち込める。
あぁ、こんな話に可奈さんを巻き込んで申し訳ない。可奈さんは優しい人だから、こんなどうしようもない俺にかけるべき優しい言葉を探してるんだと思う。できるだけ柔らかく、遠回りの言葉を。
時計の秒針が一周し分針が動き出したあたりに、可奈さんは言った。
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