28: ◆uYNNmHkuwIgM[sage saga]
2020/06/12(金) 22:10:56.86 ID:BHjCA0Mo0
唐突な俺のお願いに、プロデューサーさんは驚いたようだった。無理もない、段階も踏まずにいきなり話を切り出したから。プロデューサーさんはまだ言葉を飲み込めていない様子で、俺に尋ねる。
「えっと、陸君がアイドルになりたいの?」
特に、アイドルとか役者とかそこまでは決めていなかったので、正直に答える。
「アイドルでなくても構いません。どこかプロデューサーさんの知ってる会社で、俺を雇ってくれるところはありませんか?」
プロデューサーさんは何かを見透かすように、ジッと俺を見て答える。
「ウチで雇ってくれ、ってお願いじゃないんだね。」
「いえ、765プロは女性アイドルの事務所でしょうし...それに...。」
思わず口籠ってしまった俺の代わりに、プロデューサーさんが言葉を続ける、
「志保がいるからやりにくい?」
首を縦に振り、肯定の合図を伝える。プロデューサーさんは「そりゃそうだ」と軽く笑って、アイスコーヒーを一口静かにすすった。
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