阿良々木暦「僕がひたぎさんを嫌う未来なんてない」
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9:名無しNIPPER[sage saga]
2020/05/16(土) 23:26:34.35 ID:Gzf81c1XO
「私はもう充分、愉しんだから」
「ひたぎさん……」
「だから、もういいのよ」
「いいって……なんだよ」
問いただすと、彼女は困ったように笑って。
「私はもう、どうせ間に合わないから」
「っ……なんだよ、それ」
「だから、阿良々木くんだけでも……」
「そんなことっ……誰が望んだんだよ!?」
馬鹿なことを。
初めから、そのつもりだったのだろう。
僕がトイレに行っている間に姿を消すつもりだったのだ。独りぼっちで漏らす気らしい。
「私のことは気にしないで、行って」
「い、行けるわけないだろうが!?」
「いいから早く。あなたに見せたくないの」
「見せたくないって……どういう意味だよ」
「だって、漏らしたら、嫌われちゃうから」
いつもと同じ、表情が窺えないひたぎさん。
その白い細面に、透明な涙が伝い、落ちた。
僕はその仮面の下の苦悶の表情を垣間見た。
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