87: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 18:06:10.65 ID:5z9OpdEU0
「その狂一とかいうのが、私たちが探している男だと?」
「ああ、星形のチャームをジャラジャラ着けてたんだろ?それは『星になった女の数』をアクセサリーにしてるんだよ。小さい星が1人、大きい星が10人。最近50人を超えたから、全部大きいチャームに変えるとなんとか…」
「ゲスが」
88: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 18:07:05.56 ID:5z9OpdEU0
紅がポケットから小さな包みを取り出し、オークの前に置いた。
「それで飲みなおしてくれ。あと、その兄弟が根城にしてる場所を教えてくれ」
「いいけどよ…やっぱ乗り込むのか?下手に関わらないほうがいいと思うがなあ」
89: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 18:07:51.26 ID:5z9OpdEU0
「行こう。急いだほうが良さそうだ」
「はい…」
不安げな表情のまりが紅に続いて店を出る。
90: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 18:08:18.42 ID:5z9OpdEU0
(どうか…どうか、間に合ってくださいっ!)
祈るような気持ちで、まりは紅の後を追いかけた。
91: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 18:09:39.42 ID:5z9OpdEU0
――
――――
――――――
92: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 18:10:52.27 ID:5z9OpdEU0
――センザキ港は、江戸時代の埋めたて工事によって築かれた歴史ある港である。
かつては大規模な石油コンビナートを中心に様々な企業が工場を構えて栄えたが、今やその面影はない。
放棄された工場や倉庫は犯罪組織の根城と化し、国籍不明の船が夜な夜な停泊する危険地帯と化している。
93: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 18:11:39.69 ID:5z9OpdEU0
まりと紅は、オークから聞き出した倉庫の前にたどり着いていた。
外から中の様子は見えないが、明らかに人の気配がする。
「準備はいいか?」
94: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 18:12:23.87 ID:5z9OpdEU0
倉庫のカギは開いていた。
一歩足を踏み入れると、中はあらゆるものが散乱する“ゴミ屋敷”と言うべき空間であった。
衣類、雑誌、食べ物のパッケージ、ぼろぼろの家具、壊れた電化製品、よくわからないどろどろしたもの――おそらくもとは生ゴミだったのだろう――それぞれがごちゃごちゃに散らばり、あるものは異臭を放ってる。
95: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 18:13:10.00 ID:5z9OpdEU0
しかしよく見ると、倉庫の中心には比較的きれいなソファー、テレビ、テーブル、パソコンなどが集められたスペースがあり、ちょうどリビングのような空間になっていた。
そのソファーの上で、大柄な男が一人、寝そべって酒を飲んでいる。
「…あ?オンナ…?」
96: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 18:13:54.99 ID:5z9OpdEU0
「狂二のやつ、もう次の女優を見つけて来たのかあ…?」
「ブヘヘ…ついこないだ撮影したばっかだってのに…おにいちゃん疲れちゃうよお…」
目の焦点が合っていない。よく見るとテーブルの上に注射器のようなものも見える。
97: ◆H5MbwxPKRo[sage]
2020/05/16(土) 18:14:26.85 ID:5z9OpdEU0
ぞくっ。
(ついこないだ…撮 影 し た…?)
まりの額から冷や汗がふき出す。
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