アルコ&ピース酒井「Black Savanna」
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30: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:20:22.29 ID:z3oD1mZbo
「ッ!? あれ、オレ……?」
思わずよろける。
だけど周りは普段通りで、怪訝そうな目を向けてくるやつまでいた。え?なにこれオレバカみてぇじゃね?って周り見回す。だっれもよろけてない。あの振動なんだったん?
地震……ってわけじゃなさそうだ。もしそうなら周りだってもうちょいビビっててもおかしくなさそうだし、こんな視線向けられる必要だってないもんな。
どうも、ぼーっとしていたらしい。忙しいわけでもねえのに、なんでぼーっとしちまったんかな。眼前の信号はいつの間にか、赤から青に変わったって言うのに。やっべ、仕事に遅れそうだ。進まなければ行けないだろう、オレも、オレの中の何かも。
もう、ビルがない空間に気になるものはなかった。
「UMAはいんのよ」
「いや、いねぇと思うよ」
四月のラジオブース。オレらはふとした事から、そんな会話をする。だって、UMAってのは要は良く分かんねえ生き物ってことだろ?そんなもん、いる訳なくね?チュパカブラとか、ネッシーとかだよな。あれって大体は作りもんだって言われてるし、信用に値しないでしょ。
人間はテメェで信じたいもんしか信じねえいきもんじゃないすか。
「俺ね、小学生の頃……五年かな?三センチ位の、デカい蟻を捕まえたことあんのよ」
「えっ」
当然信じるはずがない。だって、見たことねえし。
「そんなの、オレが防衛省の近くでUFO見たのとおんなじような話じゃないすか」
信憑性のなさじゃ同じくらいだと思う。けど、言っとくけどオレはマジで見たかんな。
だからって、その証拠があるかどうか探しに行くために壁を突き破ろう、とかいう防衛省チャレンジはマジで捕まるガチのダメなやつだけど。
「いや、それお前だから消されてないだけだからな」
「はは、影響力がねえから?」
何か、忘れている気がする。でもきっと、忘れるってことは気にしなくていいことなんだろう。なんだったっけ?まあいいか。
感染対策だかで立てられたアクリル板の向こう側で、含み笑いで平子さんが言った。
「それが本当だったらお前、今頃もう消されてるよ」
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